佐藤理人 13年3月9日放送
アーリーロケットメン⑥「ツィオルコフスキー(後編)」
宇宙への行き方も、
ロケットの作り方もすべてわかっている。
しかし彼は地球から一歩も動けなかった。
ロケットの父、
コンスタンチン・ツィオルコフスキー。
ロケット作りの理論や公式を
数多く発見したにもかかわらず、
使える研究費はわずかな奨学金のみ。
何一つ形にできないまま月日だけが過ぎていった。
1917年、ロシア革命が成功すると、
彼は科学アカデミーの正会員に選ばれた。
生活費も研究資金も
ソ連政府から充分に保障されたが、
すでに60歳。宇宙に行くには年を取り過ぎていた。
その代わり彼の周りには、
いつも若い学者が大勢集まって、
教えを請うようになった。
地球は人類の揺りかごである。
しかし人類はいつまでも
揺りかごに留まってはいないだろう。
ツィオルコフスキーの言葉通り、
ユーリ・ガガーリンが
人類史上初めて宇宙へ飛び出したのは、
その言葉の主が亡くなってから
26年も後のことであった。