蛭田瑞穂 13年3月23日放送
黒澤明と七人の侍③
映画「七人の侍」。
農民を演じたのはすべて、名もないエキストラたちだった。
黒澤は農民ひとりひとりの名前、年齢、家族構成を決め、
どんな家に住んでいるか、間取りまで細かく設定した。
そして撮影中はつねに家族単位で行動するように指示した。
やがて彼らは本物の家族同様に振る舞うようになった。
演技ではない生身の人間の姿が
「七人の侍」に限りないリアリティをもたらした。
黒澤は語る。
あまり誰にも言われませんが、
あの作品の功労者は村の連中なんです。
全員が自然と村人の気持ちになっていましたからね。