五島のはなし⑪
五島にいたころ、仲のいい友だちのことを「チング」と言ってました。
僕はこの方言が好きで、「ともだちing」の「ちing」、
ふたり仲良く現在進行形!みたいなイメージを持ってたんですが、
実はこれ韓国語だったんですね。知った時は驚きでした。
驚いたといえば、島ではびっくりしたとき「あっぱよ」とか「あっぱさ」と
言います。これも韓国語の「アッパ」(痛い)から来てるんじゃないかと思います。
まあ、韓国近いですから交流が深かったとしても不思議じゃありません。
そもそも、文化とか言葉とかって思いがけず入り乱れてますね。
方言でもうひとつ。イタズラすることを「てんごする」と言います。
親によく言われました。「てんごするな」と。
で、何年か前に、隆慶一郎の『影武者徳川家康』を
読んでいたら(ちなみにこの小説、抜群におもしろいです)、
将軍が家臣に「転合(てんごう)をするでない」と言う場面があり、びっくりしました。
昔からある言葉なんですね。広辞苑にも載ってました。
熊本の友人も「てんご」は使うと言ってたので、
九州では広く残っているのかもしれません。
「てんごう」は四国でも近畿でも使います。
「ふざけ」や「冗談」の意味です。
徳島では「あっぱい」というと「キレイ」とか「まぶしい」という
意味になりますが、もっぱら子供の使う言葉じゃなかったかな。
あっぱい、かわいいなあ。
言葉の広まりと衰退はおもしろいですね。
方言のことは一度
本格的に調べてみる必要が
あると思ってます。
わたしの故郷でも「てんご」使っていました。
故郷は遠きにありて思うもののご多分にもれず、わたしは都城盆地出身。
あの伝説(?)の知事と同じところ。
残念ながら方言は衰退の一途。
だから故郷を後にした人ほど、訛りが残っているかも。
マグロのことを「しび」
蒸し器(蒸籠)のことを「こしき」
など、古語がけっこう残っていました。
薩摩は特に閉鎖的だったから・・・。