奥村広乃 13年4月20日放送
光雲の上京
高村光雲。
江戸の木彫り技術に西洋の写実主義を取り入れた
江戸から東京へ。
激動する時代の中、
世の中で、輸出用の象牙彫刻が流行っても
己の道を信じ、木彫り彫刻を極めた。
代表作は「老猿」。
明治26年に、シカゴ万博に出品されたこの老猿は、
上空をカッとにらみつけ、
左手に、鷹の羽を掴んでいる。
緊迫した世界情勢の中、
これほど険しい顔をした猿を
彼はどんな思いで彫ったのだろうか。
この万博の後、明治政府から依頼されて制作されたのが
上野に立つ、西郷隆盛像だ。
年間6000万人もが行きかう上野駅。
東京を訪れた多くの人を、
西郷さんは今も見つめている。