佐藤理人 13年5月11日放送



数学者のスイッチ①「ニュートンとハレー」

万有引力を発見したニュートンの元を、
ハレー彗星の発見者ハレーが訪れた。

彗星が引力で地球の周りを
回っていることは知っていたが、
その軌道がわからなかったのだ。

ニュートンに尋ねると即座に
「楕円だ」と答えた。
計算式を見せて欲しいと頼むと
「後で送る」と言われた。

返事が来たのはそれから約2年も後のこと。
届いたのは分厚い論文だった。これが、

「自然哲学の数学的論理」

通称「プリンキピア」と呼ばれるもの。

ガリレオやコペルニクスたち先人が成し遂げてきた
数学、天文学、物理学の発見の数々。

それらをひとつに体系づけたこの論文は、
自然の仕組みを数学的に解明した初めての書であり、
近代科学の夜明けであった。

熱心なキリスト教徒だった
ニュートンにとってこの宇宙は、

数字で記された聖書

だった。

彼は誰にも真似できない方法で、
神への愛を示してみせた。

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