佐藤理人 13年5月11日放送
V. Ganesan
数学者のスイッチ④「ラマヌジャンと神様」
インドのマドラス大学には、
数学の公式で埋め尽くされた3冊のノートが
大切に保管されている。
今もなお世界に衝撃を与え続ける、
シュリニヴァーサ・ラマヌジャンの
「ノートブック」だ。
15歳で数学を学び始めた彼は、
6000個の公式を独学で理解しただけでなく、
新しい公式を見つけると、
次々とノートに書いていった。
しかし26歳でケンブリッジ大学に招かれると、
ある問題が起きた。
それらの公式を証明できなかったのだ。
人間離れした直観力と計算力を持ち、
南インドの魔術師
と呼ばれた彼の頭脳には、
初めから「証明」という概念が欠けていた。
どうして思いついたのか聞かれると彼は、
神様が夢の中で教えてくれた
と答えた。
過度の菜食主義による栄養失調と
研究の無茶がたたり、
ラマヌジャンは32歳の若さでこの世を去る。
それから100年近くたった今もなお、
彼が遺した3254個の公式は
解き尽くされていない。