古居利康 13年6月23日放送



雨の詩集 ⑤リチャード・ブローティガン

雨の詩集。
リチャード・ブローティガンの、
『カフカの帽子』。

 雨が降っている
 屋根の上に
 外科手術的に降っている
 ぼくは
 カフカの帽子のような
 アイスクリームを食べた

 横たわって
 じっと天井を見ている
 患者をのせた手術台のような
 味のアイスクリームだった

ブローティガンは、
テンガロンハットをかぶって
写真に写っていることが多い。
帽子が好きなひとは、
他人の帽子も気になるのだろうか。

20世紀初頭のプラハの街角を
歩くとき、カフカはどんな帽子を
かぶっていたのだろう。
ブローティガンの言葉を通して、
見たことのないカフカの帽子を
わたしたちは想像する。

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