佐藤理人 13年7月20日放送
アポロ⑥「アポロ11号」
ワシは舞い降りた。
1969年の今日、
宇宙船「イーグル号」に乗った
2人のアメリカ人が月に降り立った。
ニール・アームストロングとバズ・オルドリン。
38万キロの距離と重力の壁を、
信念と科学と勇気で飛び越えた
人類初の快挙であった。
アームストロングは言った。
これは一人の人間にとっては
小さな一歩だが、
人類にとっては大いなる飛躍である。
元々「アポロ計画」はアメリカがソ連を抜いて
宇宙開発レースのトップに立つために始まった。
しかしアームストロングは
「人類にとって」と言った。
彼らが背負っていたのは
もはやアメリカの威信だけではなかった。
月の砂を最初に踏みしめた彼の左足。
それは宇宙に一生を捧げた科学者の夢と、
事故で散った飛行士たちの無念と、
名もなき無数の人々の願いを乗せた
大きな大きな一歩。
勝ったのはアメリカでもソ連でもない。
絶対にあきらめなかった人類の、
執念の勝利だった。