佐藤理人 13年8月10日放送
ルーブル美術館⑤「ナポレオン」
オーストリア王女
マリー・クルーズとの結婚式場に
ナポレオンが選んだのは、
ルーブル美術館だった。
当時、
ナポレオン美術館
と改名されていた建物の中は、
ヨーロッパ各国から略奪した
厖大な美術品で溢れかえっていた。
大いなるものは常に美しい。
そう言ってナポレオンは、
急増する戦利品を収めるために
宮殿の大増築を始めた。
彼はルーブルを
世界一の美術館にしようと目論んだ。
しかし1815年、ワーテルローの戦いで
イギリスやドイツの同盟軍に大敗すると、
元の持ち主たちは、
美術品の返還をフランスに求めた。
ところが美術館の上層部は
要求に応じなかった。
それどころか彼らは美術品を
自分のコレクションに紛れ込ませて
隠匿しようと試みた。
おかげでいくつかの傑作は
そのまま美術館に留まり、
今も私たちの目を楽しませ続けている。
大いなる美はすべてを正当化する。