三島邦彦 13年8月24日放送
Sam Rae
カムバック! ヴィクトール・E・フランクル
ナチスの強制収容所から帰還した心理学者
ヴィクトール・E・フランクル。
わずかなパンと水のようなスープのみを与えられ、
雪の降る屋外で来る日も来る日も肉体労働を強いられる日々。
心理学者としての客観的な視線と、愛する妻への思いが、
フランクルの心を支えた。
戦争が終わり、故郷に帰った。
しかし、強制収容所で離ればなれになった妻と両親は
もう帰って来ないことを知った。
帰ることができなかった人たちのことを伝えること。
それを帰ることができたものの使命と考えたフランクルは
心理学者としての観察をもとに一冊の体験記を書いた。
その中で彼はこう語る。
何千もの幸運な偶然によって、
あるいはお望みなら神の奇跡によってと言ってもいいが、
とにかく生きて帰ったわたしたちは、みなそのことを知っている。
わたしたちはためらわずに言うことができる。
いい人は帰ってこなかった、と。
日本では『夜と霧』というタイトルで、
今も強制収容所の真実を伝え続けている。