佐藤延夫 13年9月1日放送
遅咲きの人 遠藤周作
出来のいい兄を持つと、弟は苦労する。
作家、遠藤周作もそんな弟のひとりだ。
何から何まで兄と比較され、コンプレックスを抱え込む。
大学に入るときも、3年もの浪人生活が必要だった。
しかし、32歳で芥川賞を受賞してから、
彼の人生は少しずつ光を帯びてくる。
今ふりかえってみると、
まずしいながら私だけの作風を
やっとつかむことができたのは
五十歳になってからである。
早熟な才能ばかりが注目されがちだが、
遅咲きの花も、また美しい。