大友美有紀 13年9月7日放送
「ふるさとグルメ」大分県 やせうま
秋になって、食欲が増すと、
なにか特別なおいしいものが食べたくなる。
平安時代、藤原鶴清麿(つるきよまろ)という若君が、
豊後の国、今の大分県に隠れ住んでいた。
身のまわりの世話をしていたのは、
京都・八瀬出身の乳母。「やせ」と呼ばれていた。
若殿は、八瀬お手製のだんごが気に入っていた。
八瀬、うまい!
やせ、ウマッ!
やせ、うまがほしい。
若殿の口癖がそのまま「やせうま」という
大分の郷土料理になった。
小麦粉をねって、寝かせ、
きしめんのように伸ばしてゆで、
きな粉をまぶす。
団子というよりは、短めのほうとうのような形。
きな粉をまぶさずに味噌仕立ての汁にいれれば、
「やせうまだんご汁」になる。
幼子の「うまい」のひとことが今に繋がる料理になった。
おいしいものの魅力は時を越える。