三島邦彦 13年9月8日放送
変えようとする人たち アンドレアス・ハイネッケ
相手の立場に立つ。
対立をなくすための最もシンプルで、最も難しい方法。
ドイツの哲学博士、アンドレアス・ハイネッケは、
健常者と障がい者の関係を変えるため、
「ダイアログ・インザダーク」というイベントを発明した。
会場は暗闇。わずかな光も存在しない。
1回につき数名に限定された参加者が、
視覚障害を持つナビゲーターに案内されて暗闇を歩く。
恐る恐る足を踏み出しながら前へと進む。
聴覚、触覚、嗅覚、味覚。
視覚が閉ざされることによって、その他の五感が敏感になる。
暗闇の世界に慣れたナビゲーターの確かな足取りが参加者に安心感をくれる。
声を掛け合い、手をつなぐ。
暗闇の中での対話を通して、
ナビゲーターと参加者同士の間に、あたたかな連帯が生まれる。
ハイネッケはこう語る。
そばにいる誰かは、あなたを助けてくれる人なのです。
ダイアログ・インザダーク。
その暗闇の中ではすべての人が平等で、すべての人がやさしい。