蛭田瑞穂 13年9月14日放送
堀辰雄と周辺の人々⑦
小説家福永武彦は1941年、
軽井沢で堀辰雄に出会い、彼の薫陶を受けた。
そのことを福永は後に
「一種の魂のリアリズム」を学んだと書いている。
そして福永は「魂のリアリズム」を主題に据え、
処女長編『風土』を書き始める。
全3部作の小説『風土』が完成したのは1957年。
報われない男女の愛というストーリーの中に、
福永文学の重要なテーマとなる、
愛や孤独、死などが提示されている。
堀辰雄との出会いから16年の歳月を経て、
福永の目指す「魂のリアリズム」は完成した。