藤本宗将 13年9月22日放送
Macanadas
ナンバー2の男 スティーブ・ジョブズ
アップルの創業者であるふたりのスティーブ、
スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアク。
当時コンピュータ業界で尊敬を集めていたのは、
天才エンジニアであるウォズニアクのほう。
ジョブズはあまり評価されておらず、
彼のことを口先だけの詐欺師だと陰口をたたく者さえいたほどだ。
それぞれの評価はともかく、ふたりがガレージでつくりあげた
史上初のパーソナルコンピュータは評判を集め、アップルは急成長していった。
やがて設立から20年が経ち、
大企業となったアップルは社員番号制度を導入することになった。
事件は、そのとき起こる。
ふたりのスティーブが、ともに1番を欲しがったのだ。
どちらも創業者とはいえ、社員番号が同じというわけにはいかない。
検討の結果、1番はウォズニアクに与えられた。
傲慢なジョブズに1番を与えれば、さらに増長すると会社は考えたのだ。
ジョブズはその決定に猛然と抗議したが、訴えは聞き入れられず。
しかしナンバー2となることに納得しなかったジョブズは、
社員番号を「0」とすることでようやく妥協した。
もっとも社員バッジにそう書かれただけで、
会社のシステム上はあくまでも2番だったのだが。
のちに世界を変えたとまで言われ、唯一無二の存在になった男は、
誰よりナンバー1にこだわっていた。
絶対に2番なんかじゃダメだったのだ。