薄景子 13年10月27日放送
Brief Gasp
おやつのはなし 向田邦子の水羊羹
砂糖壺にいっぱいの砂糖があったらなぁ
いつその日が来るんだろう
そうつぶやくのは、少女の頃の向田邦子。
食糧事情が最悪だった戦前に、
まわりの人を喜ばせたい一心で
さつまいもの茶巾絞りや、
アルミの大きな弁当箱で寒天菓子をつくった。
少女はやがて、お菓子を見極める天才になり、
南青山の水羊羹をこよなく愛したという。
新茶の出るころから店に並び、
うちわを仕舞う頃にはひっそりと姿を消す、
その短い命がいい
向田邦子に書かれると、
おやつはみんな生き物になる。