藤本宗将 13年11月30日放送
人間の体の中を見たい。
その願いに光がさしたのは、1895年のこと。
しかもそれは医学ではなく、物理学の成果としてだった。
物理学者ヴィルヘルム・レントゲンが、
物体を通り抜ける奇妙な光を発見したのだ。
レントゲンは、
早速さまざまな写真をX線で撮影した。
そのうち妻の手を写した1枚がいまも残っている。
写真には骨がはっきりと浮かび上がり、
X線を通さない金の指輪だけが黒く映っていた。
これを見た彼女は、
「自分の死体を見た気分だわ!」と叫んだという。
だがX線写真は医学に応用され、
むしろ多くの人々を死から救うことになった。