道山智之 13年12月1日放送
新美南吉 ~白秋との出会い~
作家、新美南吉。
18歳で「ごんぎつね」を書いた彼は、
その年初めて上京する。
知り合いの詩人・巽聖歌(たつみせいか)につれられて、
尊敬する北原白秋のもとを訪ねた。
そのときの喜びを、
南吉は、白秋あてのお礼の葉書きにしたためている。
先生が、僕を「新美君」と仰有(おっしゃ)ったときも、
うれしくて返事も出来ないほどでした。
先生は、巽さんを「巽」とお呼びになったと思います。(中略)
僕も「新美君」でなくて、「新美」と呼ばれる様に、努力しようと思っています。
それから南吉は、
「手袋を買いに」「でんでんむしのかなしみ」など
心動かす作品を次々に書きあげていった。
29年の、短い生涯。
その中で彼は白秋に、「新美」と呼ばれることが
あっただろうか。
新美南吉。
今年は、彼の生誕100周年。