大友美有紀 14年6月7日放送
AHLAM
「オスカー・ニーマイヤー」ラテンアメリカ記念公園
ブラジル建築界の巨匠、オスカー・ニーマイヤーは、
ブラジルでのクーデターを逃れ、一時期ヨーロッパに滞在する。
そして、母国に戻った時、友人たちと語り合ううちに、
おのずと議論の中心が自分たちの生きている世界の不平等や
貧困という問題に向かうことが多かった。
サンパウロで彼が手がけたラテンアメリカ記念公園は巨大な作品だ。
それはこの建物の目的の偉大さを表現している。
市民広場には、高さ8mのコンクリート製の手のオブジェがある。
絶望を示す、やや曲がった指。一筋の血が手首まで流れ落ちている。
汗と貧困が、我々の分断され抑圧されたラテンアメリカをあらわす。
今や、この大陸を再び立て直し、統一し、
その独立と幸福を保障できる不可侵の一枚岩に変えることが
極めて重大である。
それは、挑発というよりは、批判や警告を伝えている。
影の差す過去や、希望はあるが不確かな未来への想いがあった。