渋谷三紀 14年8月24日放送
江戸川乱歩が見た夢
現世(うつしよ)は夢。夜の夢こそまこと。
数々の推理・怪奇小説を世に送り出した
作家、江戸川乱歩のことば。
子供のころから極度の人間嫌いだった。
生きることは妥協と言い放つほど厭世的だった乱歩は、
自作の出来を恥じて、人生で三度も休筆した。
五十を前に別人のように明るい性格になったというが、
「孤島の鬼」「陰獣」などの代表作を生み出したのは、
皮肉にもネガティブ全盛の時代。
内へ内へと向かう力こそが、
乱歩の創作を飛躍させる原動力だった。