小野麻利江 14年10月12日放送
陶芸のはなし ハンス・コパーのキクラデス・フォーム
土台の上にあやういバランスで載った、弓なりの立体。
またその上に、細長い筒状の立体。
パーツそれぞれをろくろで挽き、
くっつけ、焼き上げたあと、
細い金属の芯で、本体と土台をつなげる。
この研ぎすまされた形の名は、
「キクラデス・フォーム(Cycladic Form)」。
陶芸家・ハンス・コパーが
古代エーゲ海の「キクラデス彫刻」に惹かれ、
つくりつづけた形。
晩年、ALS・筋萎縮性側索硬化症と診断され、
身体の自由が徐々に効かなくなってからも
キクラデス・フォームを片手でつくりつづけたコパー。
どうやってつくるか、の前に、
なぜつくるか。
みずからの理想の形を追い求め、生み出す。
その衝動は、終生尽きることがなかった。