薄景子 14年10月12日放送
陶芸のはなし 北大路魯山人
近代陶芸を代表する芸術家、北大路魯山人。
その焼きものは、彼の食道楽から生まれたという。
料理を盛る器について、魯山人はこう語る。
古いものでは上等すぎる。
新しいものでは可哀想すぎる。
何百年もの時を経た名作では
自分の料理には重厚すぎ、
現代作家のものではしっくりこない。
自分の料理を盛る器がないことが、
自ら陶芸をはじめるきっかけとなった。
魯山人の器は、そのものだけを見ると
何か物足りない印象を受けるものもあった。
それは主役の料理の分だけ差し引いて作る、
魯山人の美学だったのだ。
使うことではじめて完成する芸術。
魯山人の器は、今日も料理が盛られるたび、
新しい作品に生まれ変わっている。