森由里佳 14年11月9日放送
風呂⑥ 自由と平等と銭湯と
慶應義塾の創設者である福沢諭吉。
「学問ノススメ」で、自由と平等を説いたことは有名だ。
しかし、
慶應義塾の向かい、芝の三田通りで、
銭湯を経営していたことはあまり知られていない。
福澤は、著書「私権論」でこんなことを書いている。
銭湯に入る者は、氏族であろうが、平民であろうが、
みんな等しく湯銭を払い、身辺に一物なく丸裸である。
銭湯の入浴には、なんら上下の区別なく平等であり、
かってにはいっても、出ても自由である。
総理大臣も赤ん坊も、
風呂に入ってしまえばみな同じ人間。
当時の日本に必要だったのは、
政治でも外交でもなく、
裸の付き合いだったのかもしれない。