佐藤理人 15年4月5日放送
作家たちの副業② 「メルヴィル」
作家ハーマン・メルヴィルの副業は農家だった。
広大な畑に面した書斎の窓から見える景色は、
まるで大西洋を進む船から
外を眺めているようだった
代表作「白鯨」はこの部屋で生まれた。
冬の夜、風のうなり声を聞きながら
畑に降り積もる雪を見ていると、
白くて巨大な何かに
世界が吸い込まれていく気がした。
それはエイハブ船長ら乗組員が、
物語の最後で鯨のモビーディックに倒され、
海に飲み込まれていく様に少し似ていた。