森由里佳 15年4月12日放送
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花とことば⑤ うたと桜
散る桜 残る桜も 散る桜
ねがはくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月のころ
和歌や俳句など、桜を謡った古いうたには、
さびしさや切なさを募らせたものが多い。
しかし現在では、桜といえば、
明るいうたが多くなってきた。
美しい花が散ることへの嘆き、いつくしみから、
つぼみが花ひらくことへの喜び、あこがれへ。
あたたかい春に
やっと咲いては散りゆくものだった桜は、
きびしい冬を超えて
みずみずしく咲き誇るものになった。
うたは、時代を謡うのだ。
だから、もし暗い夜が来ても、大丈夫。
いまの日本には、花あかりが灯っている。