澁江俊一 15年4月19日放送
野生の飼育法
4月19日、今日は飼育の日。
「エゾオオカミ物語」という絵本がある。
かつて北海道に生息し、絶滅したエゾオオカミについて
森のフクロウがモモンガたちに語る物語だ。
フクロウの言葉は、こうだ。
・・・
オオカミはシカを殺して食べる。
だが、シカはオオカミに食べられることによって
じぶんたちの数のバランスをたもっている。
オオカミがシカを食べることも、
シカがオオカミに食べられることも、悪いことではないのだ。
・・・
北海道で開拓が始まると、
人間たちはオオカミを次々と駆除していく。
今ではシカが増え続け、人間たちの新たな悩みになった。
この物語の作者は、絵本作家のあべ弘士。
旭山動物園の飼育係だった彼の描くオオカミたちは
強く、美しく、寂しそうだ。
この絵は、旭山動物園にある
オオカミの森で見ることができる。
広々としたオオカミの森のすぐ横には、エゾシカたちの住む檻があり
両者は時々、にらみ合っている。
失われた野生の姿が、そこにある。