小野麻利江 15年5月24日放送
あいさつの話 畑正憲の「しつけ」論
「ムツゴロウさん」の通称で知られる、
動物エッセイストの畑正憲。
さまざまな動物と触れ合うイメージが強い畑だが、
人間のしつけに関しても、厳しくも覚悟に満ちた
独特の視点があった。
かつて彼の子どもが、魚の命をうばって食べることを
嫌がるようになった際、
それを「表面的な生き物好きの精神」だと感じ、
その虚弱さを払拭させるために
家族で北海道に移り住む決意をしたという。
畑自身も、こんな言葉を口にしている。
私は「しつけ」とは、「押しつけ」だと考えます。
挨拶をする、お年寄りを敬う、
他人に迷惑をかけないなど、
人として生きていく上での原則をしつけるのに、
論理的な裏づけが必要でしょうか。
親から押しつけられてするようになった挨拶が、
やがて子どもの心の中に深い根をはり、
人格のひとつとなる。
「おはようございます」「こんにちは」
「さようなら」「おやすみなさい」…。
さて、今日までのあなたは
いったい幾つの挨拶で出来ているのだろう。