波多野三代 15年7月11日放送
別府温泉の立役者・油屋熊八 おもてなし篇
油屋熊八の経営する「亀の井旅館」は
どんな旅人でも徹底してもてなした。
腕のいい板前を大阪から呼び寄せ、
うまい料理と最高の布団を提供した。
全世界の国旗をそろえ、
外国人観光客が訪れれば、その国の旗を掲げた。
さらには
急病に備え旅館へ看護婦を常駐。
客が帰ればそれでおしまいという訳ではなく、
一度訪れた相手には年賀状を出し続けるという
徹底ぶりだった。
彼のおもてなしの精神は、聖書の一節から来ている。
「旅人をもてなす事を忘れてはいけない」
かつて相場で一文無しになった熊八は、
船底に隠れアメリカに渡る。
行き倒れた彼を救ってくれた宣教師の言葉を
熊八は一生大切にした。