飯國なつき 15年7月19日放送
Sergiu Bacioiu
こども⑧ 「夏の庭」
「死体って重い。」
6年生の山下は、おばあさんの葬儀をそう語った。
湯本香樹実の小説、「夏の庭」の1シーンだ。
登場人物である、僕、山下、河辺の3人組は、
その話をきっかけに「死んだ人が見てみたい」と考えはじめる。
死んだらいったいどうなるんだろう?
興味と恐怖をないまぜに、
3人は、近所で「今にも死にそう」と噂されている
おじいさんの死ぬ瞬間を見ようとおじいさんを見張ることにした。
おじいさんに皮肉を言われたり
いつのまにか仲良くなったりしながら、
3人は少しずつ成長してゆく。
大人になると、なんとなくわかったような気になってしまう「死」。
けれど、湯本香樹実の描き出すこどもたちは、
「死」について、きらきらと純粋に考え、ぶつかってゆく。