佐藤延夫 15年9月5日放送
浮世絵の男たち 葛飾北斎
生涯で3万を超える作品を世に出したと言われる
江戸の代表的な浮世絵師、葛飾北斎。
「富嶽三十六景」は世界的にも有名だが、
彼の表現力や大胆さは、
当時の絵師の中でも群を抜いていた。
名古屋に滞在したときには、
寺院の庭に百二十畳もの大きさの達磨を
たった半日で、しかも即興で描いたという。
さらに、将軍の前でも動じることはなく、
かかとに朱肉をつけた鶏を紙の上に放ち、
足跡を美しい紅葉に見立てた。
生涯で93回も引越しをしたという北斎。
活動のジャンルにおいても、一ヶ所に安住することはなかった。
たしかにその絵を見比べてみると、
北斎の本当の魅力と凄みが伝わってくる。