廣瀬大 15年10月11日放送
abby chicken photography
ウディ・アレンに関するいくつかのこと。
映画監督ウディ・アレンの映画に登場する
主人公たちは常に人生に対する不安に
さいなまれている。
「宇宙が膨張して破裂したらすべておしまい!」
「アニー・ホール」など多くの作品で
繰り返される悲観的なセリフ。
人生はひどいことばかりで、不条理の連続。
かつ無意味で、ほとんどが運次第である。
そんなニヒリスティックな人生観が
彼の映画の根底には流れている。
決して消えることのない不安を抱えたまま
それでも彼の作品に登場する主人公たちは
立ち直り、生きていく。
不思議と映画を観たあと、
観客は前向きな気持ちになっていることに気づく。
彼の主人公たちを救うのは
不断の努力でも、強い意志でもなく、
ましてや冒険へと旅立つ勇気と行動力などでもない。
魅力的な女性への恋と愛と、
そしてほんの少しのユーモアである。