佐藤延夫 15年12月5日放送
指揮者の哲学 オットー・クレンペラー
ドイツの指揮者、オットー・クレンペラー。
演奏では、情緒的な美しさよりも、
ゆったりとしたテンポの中に独自の世界観をつくりあげた。
逸話の多い男だった。
厳格そうな風貌でありながら、女好き。
脳腫瘍に躁鬱病。そして、度重なる怪我にも見舞われた。
後頭部からステージに転落したこともあったが、
そのたびに不死鳥のように復活を遂げた。
練習ではオーケストラに怒鳴り散らし、
演奏中も観客と口論する。
そんな彼が残した言葉。
指揮とはどんなことかと問われても答えることはできない。
なぜなら、指揮というものは自分自身で掴み取るものだからだ。
目を閉じてタクトを振る独特の姿は、指揮者よりも
独裁者という言葉がよく似合う。