大友美有紀 15年12月6日放送
「作家の犬」林芙美子のペット
放浪の女流作家、林芙美子。
極貧に耐えながら、詩や小説をを書き続けた。
昭和5年、家賃50円の西洋館に移り住む。
警官の月給が30円の時代。
周囲は反対したが、芙美子は
「借りてしまえばなんとかなるもんだ」と押し切った。
この西洋館は、なんと犬つきの物件だった。
雑種の大きな黒い牡犬。名前は、ペット。
私が鼻歌でも歌って芝生に寝転がっていると、
もう喜んで私の体にチョッカイを出しにくる。
怒った顔をして、つったっていると、
こいつも空を見上げてぼんやりつったっている。
この家に越してすぐ刊行した「放浪記」はベストセラーになった。
書斎にこもって原稿を書き続け、一段落すると犬と遊ぶ。
ペットは、芙美子に安らぎと成功をくれた福犬だった。