番組制作奮闘記-5
自由が不自由になるとき。(八木田杏子)
細田が自由に戸惑っているころ、
私は不自由に戸惑っていました。
「コンビニ」というテーマを発見して、あんなに盛り上がったのに・・・・。
それが、窮屈な制約になってしまったのです。
最初は、地平線まで広がる砂漠のようなキャンパスに、
自由に絵を描いていました。
砂場でしか遊んだことのない子供が、
砂浜で大きな創造物に挑戦するように。
夢中になって、手探りで、砂をかいていました。
それなのに。
「コンビニ」というテーマができた途端、
砂浜が砂場になってしまったのです。
コンビニ商品を題材にして・・・・
コンビニにいる時の気持ちを描いて・・・
棚の前でこんな行動をとったりして・・・
だんだん発想が小さくなって、
どんどん細かい描写に拘るようになりました。
そんな原稿に、
J-waveの久保野さんと厚焼玉子さんから、厳しいひと言。
「商品に縛られ、自由を失っています。」
さらに、優しいひと言。
「最初の原稿のほうが、心を打ちました。」
そして、有り難いひと言。
「かき氷から、アラスカに飛んでもいいんですよ。」
コンビニは発想の起点でしかなく、
そこから世界中に飛べるし、過去や未来に行くこともできる。
自由な砂浜を、不自由な砂場にしていたのは、私自身でした。
そこから抜け出して、どこまで遠くへ行けたのか。
結局、すぐ近くで息絶えたのか。
今日の25時から、それが分かってしまいます。