田中真輝 16年3月13日放送
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悲しみという魅力
今日、3月13日は
青函トンネル開通記念日。
そのトンネルが潜り抜ける津軽海峡を歌った
名曲、津軽海峡・冬景色。
歌詞を書いた阿久悠は
かつてこう語ったことがある。
あの歌のせいで、
青森は暗く悲しいところだと思い込まれ迷惑している、
と言われて、僕はこう答えた。
悲しいと感じられる情緒は、
これ以上の名産はないかもしれない、と。
日本が経済至上主義になり、
風土や風情がなくなりかけていた時代、
悲しみさえ魅惑になりうると思ったのである。
時を越えて、誰もがこの曲に心揺さぶられるのは、
失われゆくものへの哀切に、
日本人としての、いや人としての
魂が共鳴するからかもしれない。