薄景子 16年5月29日放送

160424-08
aes256
ペットのはなし 村松友視の愛猫アブサン

作家、村松友視には、
人生の伴侶ともいえる愛猫がいた。
その名は「アブサン」。
彼の直木賞受賞作『時代屋の女房』にも登場する猫だ。

知人が拾った野良猫を、村松が連れて帰り、
以来、アブサンは21歳で大往生をとげるまで、
村松夫妻とともに暮らした。

忙しい作家にとってアブサンは
自然体の生き方の師匠だった。
アブサン物語にはこんな一説がある。

 たとえば、廊下の陽の光が当るところで昼寝をしているアブサンは、
 陽の光が移るにしたがって少しずつ軀(からだ)をずらしている。
 つまり、陽の当っているところへと移動しながら眠っているのだが、
 これなんかもアブサンの手品のひとつに入れたい世界だ。

そんな愛猫の寝顔から、村松はこんな忠告を感じたという。

 あくせくした物書きなんて限界あるよ。

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