小林慎一 16年5月15日放送
フェルマーの最終定理 極東の2人の天才
志村五郎は第二次世界大戦中は、
飛行機を組み立てる工場で働いていた。
実験室も器具もいらず、
教科書があれば学べるからと、数学を勉強した。
戦争が終わり東京大学に入学し、谷山豊(とよ)と出会う。
志村は几帳面だったが、谷山はずさんだった。
緻密にものごとを進める志村は、
過ちを犯しながらも大胆に真理に向かう谷山が羨ましかった。
極端な対称性を示すモジュラー形式という領域が19世紀に生まれた。
谷山はその生まれたばかりのモジュラー形式を
ピタゴラスにまで遡る由緒ある楕円方程式と
実質同じではないかという仮説を唱えた。
この異端な説の味方は志村だけであった。
志村は友人の説を裏付ける研究に取りかかる。
しかし、将来への自信を失ったという理由で、
谷山は自ら命を絶ってしまう。