熊埜御堂由香 16年9月25日放送
服のはなし 大内順子のまなざし
日本のファッションジャーナリストの先駆けといえば、
このひとしかいない。
大内順子。
大きなサングラスとボブヘアーをトレードマークに
2014年に80歳で亡くなるまで活躍を続けた。
じつは20代のころはモデルをしていたが、
交通事故で顔面に大けがを負う。自然と書く仕事へシフトしていった。
まだパスポートを取るひともめずらしい70年代に
単身でメゾンの扉をたたいた。
エルメスも、シャネルも、セリーヌも
初めて日本に紹介したのは大内だった。
1985年には、世界的なモードを日本に広めた「ファッション通信」
という番組をスタートさせる。
ひとりで道を切り開いてきた大内は、
いつもまわりにこう言っていた。
ファッションって、楽しくて、素晴らしいから、
誰かに知らせたい、ただそれだけよ。
軽やかに、前向きに、サングラスの奥の瞳は
きっといつも好奇心で輝いていたはずだ。