藤本宗将 17年1月21日放送
能登屋甚三郎と風邪と葛根湯
風邪といえば、葛根湯。
2000年前に生まれたこの漢方薬は、
現在に至るまで多くの人々を助けてきた。
江戸時代末期の金沢で暮らしていた
町人・能登屋甚三郎の日記にも、
風邪で葛根湯を飲んだ記述が残っている。
風邪気味だったのを我慢していたところ、
寒さのせいか風邪がひどくなってしまった。
そこで葛根湯を三回飲み、
さらに二番煎じも飲んで今晩は汗をかいた。
さらに翌日には、こうある。
夜に汗をかいたおかげで、
風邪は昨日よりだいぶ良くなってきた。
今晩も昨晩と同じく葛根湯を三回飲んで汗をかいた。
ちなみに日記によれば、
こうして風邪をひいているあいだにも
甚三郎は勤めに出ていたらしい。
風邪でも仕事を休めない。
そんな日本人の悪しき習慣は、
いつになったら治るのだろう。