大友美有紀 17年2月5日放送
「愛の手紙」森鴎外
森鴎外は日露戦争のとき、約2年の間に
出征先の満州から妻・しげ子や
家族に宛てて、140通におよぶ手紙を送っている。
茉莉ちゃん。お前は病気の時
かあさんにくツついてこまらせたというふことだね。
親だものをくツつくのはあたりまへだ。
病気でない時もくツついてこまらせておやりよ。あばよ。
小説とは違うやわらかな言葉。おどけた文章。
当時、妻と鴎外の母の仲は険悪であった。
自分の留守の間、妻の気持ちを引き立てようと
手紙を書き送っていたのかもしれない。