大友美有紀 17年2月5日放送
「愛の手紙」小林多喜二
あーまたこの二月の月かきた
ほんとうにこの二月とゆ月
いやな月 こいをいパいになきたい
どこいいてもなかれない
蟹工船の作家・小林多喜二の母・セキの文章だ。
多喜二は警察で拷問の末に殺された。
それが二月だった、
読み書きができなかったセキは
獄中の息子に手紙を書きたい一心で文字を覚えはじめた。
「こいをいパいになきたい」とは声をいっぱいに泣きたい、
ということだ。セキは家族に涙を見せたことはなかった。
誰かに見せるために書いたわけではない。
しかし、その悲しみは多くの人に届く。