松岡康 17年6月11日放送
世界を変えた線
黒くどんよりとした空。
突然の夕立に、橋の上を急ぐ人々。
画面全体には雨が
複数の長い斜線となって描写されている。
歌川広重作「大はしあたけの夕立」。
この木版画は、遠くヨーロッパの美術界に
大きな衝撃を与えた。
西洋では雨の描写は
これまでほどんどなかったこともあり、
広重の描いた雨の描写方法は、
西洋の画家たちにとって革命的だった。
かのゴッホも夢中でこの版画を模写し、
印象派画家達の間で広がった
ジャポニズムの流行を生み出すきっかけとなった。
日本で生まれた線が、
遠くヨーロッパの美術を大きく変えたのだ。