澁江俊一 17年12月24日放送
玉手箱の理由
今夜たくさんの誰かが
誰かに贈りものをするだろう。
誰もが知っていて
しかし誰もがそれをもらった理由を不思議に思う
そんな贈りものといえば
浦島太郎の玉手箱。
なぜ亀を助けたお礼に
乙姫さまは玉手箱を渡したのか?
なぜこの意外な結末がこんなにも時を超えて
語りつがれているのか。
正解はない、ただ解釈だけがある。
こんな解釈もある。
三百歳になったのは、
浦島にとって、決して不幸ではなかったのだ。
年月は、人間の救いである。
忘却は、人間の救いである。
太宰治「御伽草子」の浦島さん
という文章の中の言葉である。