奥村広乃 17年12月24日放送
妻への贈り物
ありがとうと、口にするのは時に恥ずかしい。
長年連れ添った夫婦ともなれば、なおさらだ。
日本植物学の父、牧野富太郎(まきのとみたろう)。
彼が命名した植物は2500種以上、
残した植物標本は50万点。
その素晴らしい功績の裏で、
日々の生活は楽ではなかった。
それを献身的に支えたのが、妻の壽衛(すえ)だった。
彼女が亡くなった翌年。
牧野博士は、自身が発見した新種の笹に、
妻への感謝の気持ちを込めて名前をつけた。
その名は、スエコザサ。
彼は、こんな歌も読んでいる。
「家守りし 妻の恵みや わが学び
世の中の あらん限りや スエコザサ」