渋谷三紀 18年2月24日放送

180224-03
Yu Morita
お鍋はいかが すき焼き

作家の山口瞳が編集者だった頃、
ある小説家宅の食事に招かれた。

出されたのは、すき焼き。
よろこんだのもつかの間、
主人はいわゆる鍋奉行だった。

肉に箸をのばすと「それはまだ早い」。
またのばすと「出汁を足せ」。
そろそろかとのばすと「薄くなった。」と砂糖を入れだす。

ついにひとつの肉も食べられなかった山口。
その姿は、奉行の裁きにうなだれる
罪人のようだった。

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