大友美有紀 18年4月7日放送

180407-03

日本の色 異世界との境界の色、黒

 粋な黒塀 見越しの松に
 仇な姿の 洗い髪

春日八郎が歌った「お富さん」の歌詞。
くろべいとは、黒い塀のこと。
江戸では、料亭、小唄の師匠、
お妾さんの住まいなどは黒塀で囲まれていた。
吉原の大門には黒い瓦屋根があった。
江戸城の鬼門にあたる上野寛永寺。
その表門も黒かったという。
闇から生じた「黒」は境界の色であり、
特別な存在を意味する色であった。

江戸末期に来航したペリーの黒船は、
偶然とはいえ「異世界からの来訪」を象徴したのだろう。
文明開化で日本に取り入れられた蒸気機関車、自動車、
人力車も鉄製で黒い色をしていた。
当時はポストでさえ黒かった。
西洋の黒いものたちを使うことで、
無意識のうちに異世界を日常に
取り入れようとしたのかもしれない。

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