大友美有紀 18年4月7日放送
日本の色 柿色
ああ綺麗な柿だ。
あの柿のような色を出したいものだ。
江戸時代前期の陶工、
酒井田喜三右衛門は、仕事に疲れて縁側に座っていた。
ふと見上げると柿の実が輝くように夕陽に照らされていた。
それから5、6年取り付かれたように
柿色の焼き付けにのめりこんでいった。
そうして作りあげたのが、
九州有田の「赤絵」といわれる色絵磁器である。
時の藩主、鍋島光茂がこの「赤絵」を見て、
まるで柿のような色なので、柿右衛門と名乗るように
と言ったと伝えられている。
これが酒井田初代柿右衛門、誕生の物語である。
太陽と自然からもらった色と名だった。