澁江俊一 18年4月8日放送
さようならの潔さ
わたしが一番きれいだったとき
自分の感受性くらい
など、
潔くも美しい詩を
数多く残した詩人、茨木のり子。
79歳で世を去った彼女が
自分の死を前に残した
最後の言葉もまた美しい。
「あの人も逝ったか」と一瞬、たったの一瞬
思い出してくだされば、それで十分でございます。
あなたさまから頂いた長年にわたるあたたかな
おつきあいは、見えざる宝石のように、
私の胸にしまわれ、光芒を放ち、
私の人生をどれほど豊かに
して下さいましたことか・・・。
この世との別れの言葉は、
できることなら、こうありたい。