藤本宗将 18年5月12日放送
秋山徳蔵とニホンザリガニ
パリで修行中の料理人・秋山徳蔵が
日本に呼び戻されたのは、1913年のこと。
大正天皇の即位を祝う晩餐会のために、
彼の腕が必要とされたのだ。
そのメニューの目玉として秋山が考えたのが、
フランスでは高級食材である
ザリガニを使ったポタージュ。
しかし当時入手できるザリガニといえば、
北海道などに生息するニホンザリガニしかない。
しかも来賓客は2000人。
それでも諦めきれなかった秋山は、
なんと北海道の陸軍第七師団にザリガニ捕獲を依頼。
兵士を動員して3000匹ものザリガニを確保した。
晩餐会の真のミッションは、
海外からの来賓を一流のフランス料理でもてなし
日本を一等国と認めさせること。
史上最大のザリガニ捕りは、
国家の威信をかけたプロジェクトだったのだ。