河田紗弥 18年8月12日放送
おやつの時間 〜日本人の最初の一口〜
日本で最初に紅茶を飲んだとされているのは、
伊勢の船頭「大黒屋光太夫」だと言われている。
1782年、伊勢の白子港を出港し、
江戸を目指した光太夫の輸送船は、駿河湾沖で暴風雨に遭遇した。
船はロシアとアラスカの間にある島に漂着し、
先住民族たちに助けられた。
船に積まれた陶器や金銀の豪華さから、
身分ある富裕商人と誤解された光太夫は賓客として扱われた。
ロシアの皇帝エカテリーナ2世は、
なんども宮中に招待し、その度に茶会を行なったと言われている。
当時のロシアでの茶の価値は、
「百匁にて銀一枚より五枚に至る」と言われるほどの高価なものであった。
帰国後の回顧談には、
「銀の壷にのみぐちをつけたる器に入れ、熱湯をさし泡茶(だしちゃ)にして飲む。
是にも多く砂糖、牛乳を加ゆるなり」と記されている。
やがて、日本に帰国することになった光太夫は、
金のメダルや金時計とともに
たくさんの茶と砂糖などの餞別をもらった。
旅の途中も、光太夫は、茶を嗜んでいたんだとか。